2018年から内科を目指す専攻医は新内科専門医プログラムに乗ることとなって早4年
去る2021年5月12日に呼吸器内科専門医取得をJ-OSLERを用いて行う、J-OSLER呼吸器が発表されました。
実体験をもとに、呼吸器内科専門医への長い長い道のりを解説したいと思います。
J-OSLERの悪夢再び!?
残念なお知らせになりますが、新内科専門医取得要件の悪夢のような160症例登録、29病歴要約を達成した内科専攻医にとって、j-oslerの悪夢再びとなります。
新内科専門医制度が開始となったため、呼吸器内科専門医取得もj-oslerのシステムを用いるようになりました。
第1回、新内科専門医が2021年7月に横浜で開催されることになり、内科の知識を問題集で確認しているであろうこの時期にとてもテンションが下がりました。
j-oslerが発表されてから丸3年以上経っての情報公開、遅すぎます。
j-oslerで用いた症例がj-osler呼吸器でも用いることができるそうですが、その割合はたかがしれています。
J-OSLER呼吸器、その概要は
取得要件を見ていきましょう
1)基本領域の専攻医(内科専攻医または外科専攻医)であること
2)非喫煙者であること(呼吸器専門研修統括責任者が証明すること)
3)呼吸器専門領域研修期間が3年以上(基本領域との連動研修期間を含めて)
4)内科せ基本領域とする専攻医:主担当医、主病名としてのカリキュラム各論に定める全12疾患・病態群を網羅し計150症例(外来症例は50症例まで)の経験
5)上記症例を基に記載した25編の病歴要約(査読あり)
6)所定の必須技術の経験
7)所定の呼吸器病関連の論文3編および呼吸器関連学会での発表3編以上(筆頭著者と筆頭演者を1編含むのが望ましい)
8)呼吸器専門研修として定める講習会(臨床呼吸機能講習会必須)の受講
9)呼吸器専門研修として定めるe-learningコンテンツの受講
詳しくは呼吸器学会が出したスライドをご覧ください
j-oslerの悪夢が再来です。
呼吸器専門医の取得に至っても内科専門医の症例および病歴要約とほぼ同じ経験症例と病歴要約が必要となっているからです(内科専門医時の症例、要約が使用可能ではありますが…)
順に見てきましょう
1) は内科専門医取得時にj-oslerに乗った人しかj-osler呼吸器が使えませんよということです。
2)は呼吸器内科専門医・循環器内科専門医お馴染みの、非喫煙者であること。が専門医取得要件になっています(専門医でも喫煙者はおりますが笑)
3)は恐らく他科ローテの期間は含まれないのでしょう、そのため人によって達成できる期間が異なってきそうです。
4),5)は、まさに絶望です。
j-oslerの制度が始まってから内科医を志望する研修医の割合が減った現状の中、呼吸器内科学会も専門医の数をさらに減らしたいのでしょうか。
驚くことに呼吸器内科学会は呼みなさん呼吸器内科になりましょうとキャンペーンをこれまでしています…
7)は所定と書いてありますが、呼吸器関連の論文や学会であればいいとのことで、提出後、呼吸器内科学会が判断するそうです。
論文数がネックになってきますが、3編全て共著でも良いので名前は入れてもらえると嬉しいですね。和文でも英文でもOKです。
論文数が多い大学病院での呼吸器内科医がここはやや有利となるのではないでしょうか。
私も論文は1本も書いてませんが、2編は共著に名前が乗っています。
8)呼吸機能講習会は実はかなり勉強になります、修学旅行気分で楽しかったです。
呼吸器内科への道
内科専門医とは違い、呼吸器内科専門医は上記要件を満たした人から受験資格を得られるため医師7-9年目でとることになるでしょう。
しかし、j-oslerで散々な3年間を送った内科後期研修医で最短でとろうというやる気がある人はあまりいないのではないでしょうか。
呼吸器内科医を増やしたい、こんな良い制度をつくりましたという学会と、専門医を取得したい医師では相入れない壁がありそうです。
取得要件を軽くしろとは思いませんが、終わりの見えない症例集め、病歴要約には意味が見出せず、ただただ医師の残業時間を増やしているとしか思えません。(これは自己研鑽なので残業とは認められないのでしょうが、あ、そもそも残業代はでない…)
みなさんどう思われるでしょうか
コメント