第2段は進行肺癌・肺癌術後再発の1次治療として承認された
白金製剤(CBDCA or CDDP)+第3世代抗がん剤+Nivolumab+Ipilimumab (CheckMate 9LAレジメン)
を紹介します。
論文はこちら
CheckMate 9LA試験
PICO
①どんな患者に対して(Patient)
②どのような介入をしたら(Intervention)
③比較対象(Comparison)に比べて
④どのような結果(Outcome)となるか
にそって見てみると
本論文は
P:切除不能・再発非小細胞肺癌患者で化学療法を受けていない患者に対して
I:二ボルマブ(Nivolumab)+イピリムマブ(Ipilimumab)+プラチナ併用化学療法(2サイクル) を投与すると
C:化学療法(4サイクル)のみを行う群に比べて
O:全生存期間(OS)中央値は介入群14.1ヵ月、対照群10.7ヵ月(ハザード比:HR 0.69)と有意に延長した。
ポイントは組織型(扁平上皮、非扁平上皮)、PD-L1発現率によらず免疫+プラチナ併用化学療法群のほうが化学療法群に比べ、ハザード比が有意に低いため、本レジメンは組織型、PD-L1発現率に関わらず使用可能である。
他のポイント
・重篤な治療関連有害事象は、介入群の30%、対照群の18%で発生した。
・治療関連死はそれぞれ2%、2%であった。
・追跡期間12.7カ月後の結果では、OS中央値はそれぞれ15.6カ月と10.9カ月(HR 0.66)
・免疫チェックポイント阻害薬と化学療法を比較した試験では、生存曲線がクロスすることがあり、免疫チェックポイント阻害薬のみでの初期死亡を化学療法を2サイクル追加することで防ごうとする目的がある。
第Ⅲ相CheckMate -9LA試験の3年間のデータ(2022年米国臨床腫瘍学会年次総会で発表)
免疫療法薬2剤による併用療法は、本試験の主要評価項目である全生存期間(OS)の持続的な改善を引き続き示し、3年生存率は、化学療法2サイクルを追加したオプジーボとヤーボイの併用療法群で27%、化学療法群で19%でした(ハザード比 [HR] 0.74;95% 信頼区間 [CI]:0.62 – 0.87)
- PD-L1発現レベルが1%未満:PD-L1発現レベルが1%未満の患者における生存率は、免疫療法薬2剤による併用療法群で25%、化学療法群で15%でした。
- 扁平上皮がん:扁平上皮がんの組織型の患者における生存率は、化学療法を追加したオプジーボとヤーボイの併用療法群で24%、化学療法群で11%でした。
- 探索的解析では、化学療法を追加したオプジーボとヤーボイの併用療法群で、STK11など特定の遺伝子変異を有する患者において生存ベネフィットの肯定的な傾向も認められました。
(小野薬品工業株式会社HPより)
ガイドラインでは
Ⅳ期非小細胞肺癌のガイドライン、まだ9LAレジメンは記載ありません。
間違い、ご指摘ありましたらぜひお問い合わせくだされば幸いです。
【おすすめの肺癌化学療法教科書】
実際に化学療法を投与する場合に投与量や投与基準、減量基準の確認はこれ1冊で(必須レベル;ただし免疫チェックポイント阻害薬レジメンには非対応)
(発売日: 2017年11月15日)
・肺癌ガイドライン2020年度版はこちら
・化学療法の歴史やどういうときにどういうレジメンを選ぶかを学ぶことができる(欠点:少し古い 発売日: 2018年11月1日)
・免疫チェックポイント阻害薬レジメンや新しい分子標的治療などに対応したい場合はこちら(発売日: 2021年11月30日)
呼吸器内科専門医取得に興味ある方は是非下記も一読ください。
コメント