ヘルシンキ宣言2024年改訂で何が変わったか
2024年10月、人を対象とする医学研究の倫理原則であるヘルシンキ宣言が、採択の地ヘルシンキで約10年ぶりに改訂されました。試験で問われやすい変更点を5つに絞って整理します。
ヘルシンキ宣言とは
ニュルンベルク綱領(1947年)は、ニュルンベルク医師裁判の判決の中で示されたもので、医師の団体が自ら作った規範ではありませんでした。そこで世界医師会(WMA)が、医師が人を対象とする研究を行うときの倫理原則として、1964年にフィンランドのヘルシンキで採択したのがヘルシンキ宣言です。1975年の東京での改訂で、研究計画を独立した委員会が事前に審査する仕組み(現在の倫理審査委員会の原型)が加わりました。
2024年改訂の5つの変更点
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 呼び方 | それまでの「被験者(human subjects)」が「参加者(participants)」に改められた。研究に参加する人の主体性を重んじる表現 |
| 緊急事態 | 公衆衛生上の緊急事態でも宣言の原則は守られるべきことを明記 |
| 構造的な不平等 | 研究がもたらす害と恩恵が一部の集団に偏ることへの注意 |
| 同意 | 自由意思にもとづくインフォームド・コンセント(free and informed consent)の強調 |
| 研究不正 | 個人、チーム、組織が研究不正に関与してはならないことを明記 |
変わらない柱
- 参加者の健康と権利を守る責任は医師と研究者の側にある
- 研究計画は事前に倫理審査委員会の審査を受ける
- 参加者はいつでも不利益なく参加を取りやめられる
- 参加者個人の利益が、科学や社会の利益より優先される
試験での問われ方
ヘルシンキ宣言は世界医師会が定めた倫理原則で、法的な拘束力はありません。日本で研究を規律するのは臨床研究法、医薬品医療機器等法のGCP省令、生命科学・医学系研究倫理指針で、これらが宣言の精神を取り込んでいます。「ヘルシンキ宣言は日本の法律である」「日本医師会が採択した」「社会の利益が大きければ参加者個人の利益より優先してよい」は、いずれも誤りの選択肢として作られやすい文です。
宣言の名前は、地名と中身を組にして覚えます。誓いのジュネーブ(1948)、患者の権利のリスボン(1981)、研究のヘルシンキ(1964)。すべて世界医師会の宣言です。
この記事は試験対策のための情報で、個々の事例についての法的助言や診療の指針を示すものではありません。法令・指針・ガイドラインは改訂されることがあります。必ず最新の原典をご確認ください。
